子ども達が主役となりつつあるエコチル調査 ~大きな果実のために~

センター長 福島ユニットセンター特任教授 福島県立医科大学 医学部 小児科学講座 准教授 橋本 浩一

 平成23年1月から開始されたエコチル調査は12年目に入りました。令和4年度現在、参加されているお子さんは小学2年生から5年生になりました。当ユニットセンター(UC)は参加者、関係者の御理解と御協力のもとともに歩み、エコチル調査に参加した妊婦さんから出生した児の約93%にあたる約12,000人(令和4年5月現在)が継続参加されています。令和3年度も新型コロナウイルス感染症への対応に追われましたが、参加者が安心して調査にご参加いただけるよう努めて参りました。
①対面調査への対応
 対面で実施している、学童期検査、詳細調査においては、「新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」を作成し、常に安全側に立ち調査を進めました。感染状況を踏まえながら一時中止など適宜対応しました。学童期検査の参加者アンケートでは、「感染症対策の取組により安心して検査受けることができましたか」との問いに対して、96.2%が「そう思う」、2.9%が「ややそう思う」と回答されました。
②「新たな生活様式」の定着のなかで
 環境セミナーでは「家族で考えよう!SDGs達成と脱炭素社会づくり」と題してオンラインでSDGsについて学びました。また、ふれあい会のイベントでは、“おうち時間”を少しでも楽しんでいただくため、ダンス動画や福島県文化財センター白河館“まほろん”のご協力のもと”はにわ”作りの福島UCオリジナル動画を配信しました。
③新たな研究に向けての準備
 乳歯に含まれる化学物質を測定するための“乳歯調査”が開始され、令和3年7月より調査票と乳歯回収キットの発送を開始しています。また、遺伝要因を調べるゲノム・遺伝子解析研究へのオプトアウト方式による協力意思確認も令和4年3月より開始されました。さらに10歳詳細調査でのWISC検査のために検査者の養成を開始しました。
④成果の発信
 調査、研究である本出生コホート調査の目的は、確かなエビデンスを社会に還元することです。全国10万組の母子からのビッグデータによりエコチル調査関連の論文が数多く執筆されています。福島UCでは令和3年度は学術ワーキンググループのメンバーが12通の英語論文を発表しました。発表論文は当UC、あるいは環境省のホームページからご覧いただけます。
⑤調査主役の子どもを見据えて
 令和3年度より子ども本人が回答する「子どもアンケート」が開始されました。10歳、11歳、12歳が対象となります。また、福島UCから年3回発行されるニューズレター“こぼちる通信”には子ども向けコーナー、そしてホームページにはキッズページをそれぞれ新たに設けました。
 最年長の子ども達が小学校高学年となり、いよいよ子ども達が主役となってきました。いかに主役の子ども達が本調査に興味を持ち、継続参加するかがエコチル調査から得られる果実の大きさに関わり、そして、その果実が参加者、社会に還元されてゆきます。今後とも、関係者の皆さまの御理解と御協力のもと参加者とともに一歩一歩あゆみ続けて行きたいと存じます。よろしくお願いします。

2022年6月

これからもよろしくお願い致します。

福島ユニットセンター副センター長  福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座教授 安村 誠司

 エコチル調査は、2011年の開始から、早や8年目に入りました。全国で10万人の参加者を目標として調査への参加を募った結果、福島のお母さんの登録数は、延べ人数で13,131人(2017年3月24日時点)となっており、全体の12.7%になります。これは、福島県では、東日本大震災後の全県の妊産婦の方の不安に対応すべく、対象地域を全県に拡大したことによります。
 さて、エコチル調査は、環境要因(特に環境化学物質)が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにすることが目的です。私たち福島ユニットセンターでは、エコチル調査の目的を踏まえ、福島の参加者の皆様の貴重なデータを適切に解析し、「福島で安心して産み、育てられる環境を作っていく」ために役立てていきたいと考えています。皆様には、本調査に引き続きご協力頂ければと存じます。皆様と皆様のご家族のご健勝を祈念しております。

2018年4月

ありがとうございます。

福島ユニットセンター副センター長 福島県立医科大学小児科学講座教授 細矢光亮

 子どもを取り巻く生活環境が心身の成長発達に大きな影響を与えていることに異論はないと思います。しかし、養育環境以外の環境要因、たとえば化学物質が身体の発育、精神の発達、疾病の発生にどのような影響を与えているのか明らかではありません。環境省による「子どもの健康と環境に関する全国調査」は全国で生まれた10万人の子どもの健康を長期間にわたり調査する壮大な調査であり、この調査に参加できることに誇りを感じるとともに、その調査結果に大きな期待を寄せています。次世代の子どもたちにより良い環境を残すため、是非調査へのご理解とご協力をお願いいたします。

今後ともご協力ください。

福島ユニットセンター 副センター長 福島県医科大学 医学部 産婦人科学講座 教授藤森敬也

 平成23年1月から始まったエコチル調査も、皆様方の絶大なるご協力とご支援により平成26年3月末をもってリクルートが終了し、さらに平成27年の1月をもって全てのお母様方のお産も無事終わりました。途中、東日本大震災があり、平成24年10月からは福島県に住む全ての妊婦様が対象となり、合計13,000人を超える方にご参加いただきました。この参加者数は、全国15箇所のなかでトップです。これだけ沢山の方々にご参加いただけたのは、お母様方やお父様方のご協力はもちろんのこと、福島県内の産婦人科医療施設の産婦人科の先生、助産師さん、看護師さん、皆様のご協力なくては達成できませんでした。本当にありがとうございました。
 今後も福島ユニットセンターやメディカルサポートセンターがサポートして参りますので、将来の子供たちの健やかな成長のための調査に今後ともご協力下さい。

ふくしまから世界へ

福島ユニットセンター 副センター長 福島県医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授 西郡秀和

 2019年4月より、福島の仲間にいれていただきました。前任は東北大学病院産婦人科で、エコチル調査には開始時から関わっております。
 エコチル調査はご存じのように、多くの方々のご協力のもとに成り立っています。その貴重なデータを解析させていただき、おかげさまで、興味深い成果が次々と得られてきました。それらを通じて私が感じたことは、エコチル調査は、どちらかというと、病気や障がいに関わる危険因子は何か?ということに注目されがちです。しかし、発想を逆転すると、どのような環境(食生活など)だと、お母さんやお父さんはより順調な妊娠・産後の生活を過ごすことができるのか、子どもたちはより健やかに成長することができるのか、そのためにはどのような環境づくりをすればよいのか、という貴重な情報がたくさん詰まっていることを改めて実感しています。
 これは、日本だけでなく国際的にも非常に大切な情報です。福島から世界の、そして未来の子どものために、今後ともご協力とご支援をお願いいたします。

2019年7月

エコチル調査、新たなステージに向けて

長坂 雄一

2023年4月より、福島ユニットセンターの一員となりました。実は2013年に環境省でエコチル調査の担当をしており、当時は東日本大震災の後に福島県がエコチル調査の対象を全県に拡大したばかりの時期でした。その際は大勢の福島県の方々にご参加いただき、本調査への期待の大きさと責任を感じていたことを思い出します。それから10年たち、調査は順調に進んで当時調査に参加して生まれたお子さんが小学校高学年となり、いろいろな成果も出始めた中、改めてエコチル調査に関わることになったことは感慨深いものがあります。調査は当初は13歳までの追跡調査で結果をとりまとめる予定でしたが、13歳以降も継続されることとなり、エコチル調査の重要性と成果への期待が益々高まっていくことでしょう。エコチル調査が新たなステージに入っていくこの大事な時期、参加者のみなさまに引き続きご協力いただけるよう創意工夫を重ねながらエコチル調査の実施に貢献していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

2023年4月

ご協力いただきありがとうございます

今泉花梨先生

 エコチル調査に関わることができ大変嬉しく思っています。2011年にスタートしたエコチル調査は、これまでたくさんの方に参加いただき、貴重なデータを蓄積することができています。参加いただいているお母様、ご家族、医療施設の皆様に深く御礼を申し上げます。
 皆様のご協力により、すでに興味深い成果が得られてきておりますが、今後もこの調査の解析を行い、成果を発信し、全国の子供達に還元できるよう携わっていきたいと思っております。
 子供達のよりよい未来のため、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

2021年6月

皆さまのご協力はエコチル調査にとってかけがえのないものです

リスク管理責任者 福島県立医科大学 小児科学講座 医科大学助手 佐藤晶子

 福島をはじめ、全国のエコチル調査に参加してくださっている子どもたちは、この春3歳から6歳になりました。また、平成23年度生まれのみなさんは小学1年生になりました。おめでとうございます!
 福島県で協力してくださっている保護者の皆様は、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故後の大変な時期に、『未来の子どもたちの子育てや環境のために』とお子様の妊娠中から今日まで長い期間ご協力をいただいています。育児などでお忙しいところ、半年に1回質問票を送ってくださり、大変ありがとうございます。
 今後、子どもたちが学童期(小学校入学以降)になりますと、質問票をお願いする時期など幼児期と変わってゆくものがあります。年4回お届けしているニューズレターなどであらかじめご案内を差し上げますけれども、ご不明な点がございましたら福島ユニットセンターへお問い合わせください。
 また、県内関係医療機関、行政機関の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2018年4月

引き続きご協力をお願いいたします

福島県立医科大学 小児科学講座 医科大学助手 尾形優香

 エコチル調査参加者の皆様、また関連機関の皆様には多大なるご協力をいただき、誠にありがとうございます。エコチル調査にご協力いただいております一番年上のお子さんは、小学校に入る年齢となりました。お子さんの成長を私たちも大変嬉しく感じております。 
 日ごろ参加者様と関わりお話をうかがう中で、お子さんの成長の喜びや子育てに関する悩みなどをお聞きします。福島ユニットセンターは、保護者の方をサポートし、一緒にお子さんの成長を見守っていきたいと考えております。福島ユニットセンターには様々な専門職のスタッフがおります。子育ての悩み、質問票を書いている上で気になったことなどありましたらご連絡ください。
 参加者の皆様に寄り添い、エコチル調査を進めてまいりたいと考えております。今後ともエコチル調査をよろしくお願いいたします。

2018年4月