おしえて先生! あんなことこんなこと

 これまで発行された「エコチル★ふくしま通信」の「おしえて先生!あんなこと、こんなこと」では、育児・病気・小児の発達など専門の先生方にわかりやすく解説していただいています。これまでに掲載された内容をご紹介します。
 皆さまぜひ子育ての参考になさってください。

奇妙に見える行動には理由があります NEW

2021/11

身体をぐるぐる回転させたり、ジャンプをくり返すなどの行動は、やめさせた方がいいですか?

 子どもはぐるぐる回ったり、ピョンピョン跳ぶのが大好きですが、周りの状況にかまわず一人で執着してやり続けていると奇妙に見えてしまいます。 ほかに身体を揺する、つま先で歩く、手をひらひらさせるなどいろいろな行動がありますが、これらは感覚の問題に大きく関係しています。
 私たちは視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のほかに身体の回転やゆれ、加速などを感じる前庭覚、筋肉や骨の動きや位置を感じる固有受容覚などの感覚情報を外界から取り入れて、脳で統合して活動しています。感覚の入力がうまくいかないと、より強い刺激を求めて激しい動きや奇妙に見える行動に結びつきやすくなります。また、視覚や聴覚からの情報は、脳でその意味を認知処理されて複雑な活動につながりますが、これが難しいと前庭覚や固有覚のような単純でわかりやすい刺激を求めてしまいます。さらに感覚は感情とも深く関係しています。不安や嫌なことがあると、強い刺激や自分に快い刺激を入れて気持ちを安定させていることがあります。奇妙に見えても本人や周囲の人に危険や害がなければ、無理にやめさせる必要はありません。危なかったり没頭しすぎるときは、同じ感覚でも安全で一緒に楽しめる方法を考えたり、ストレスから来ている場合は、その原因を考えて対応しましょう。小さいときから一緒に身体を使って遊ぶことが、感覚処理の力を伸ばしたりコミュニケーションの基本にもなります。
 行動ではありませんが、奇妙な身体の動きの一つにチックがあります。チックは脳のドパミン神経の過活動によるとされ、繰り返すすばやい動きで自分の意思に関係なく起こります。まばたきや目をギュッと閉じる、口や肩に力が入るなど、単純なものは自然に消えることが多いので叱ったり指摘せずに見守って下さい。ストレスや睡眠不足、ゲームやメディア機器の使いすぎは悪化の一因になります。長引いたり音声を伴うようなときは、医師に相談して下さい。

福島県立医科大学小児科学講座
助教 加藤 朝子 先生

”聞こえ”と“関わり”を再考しよう 

2021/06

ことばの遅れが気になった時、どうしたらよいでしょうか?

 発達相談で最も多いものの一つが「ことばの遅れ」です。1歳台はパパやママなどの単語が出ないこと、2~3歳台は文章を理解出来ないことや言うことを聞かないこと、4~5歳台は発音が未熟なことなどお子さん の年齢により保護者の悩みは様々です。周囲の同年代の子と比較して我が子のことばが遅れているのではないかと気になってきます。気になる時期は、心配する家族が居るかどうかに関係するところも多いと感じます。一方で「男の子の場合はことばが遅くても大丈夫」と寛容なご家庭もあります。
 まずは聞こえが充分かどうか、聞こえるような関わりがなされているかに注目します。
 前者は難聴の早期発見が重要であり、後者は発達段階や環境要因の確認が重要です。できれば生後6か月まで、遅くとも2歳までに難聴を発見して補聴器を装用することが必要です。次に、発達段階を確認して、全体的な発達の遅れによることばの遅れか、自閉スペクトラム症のような社会的スキルの課題を伴うことばの問題か、メディアへの暴露による不適切な養育環境の影響かを検討していきます。ことばの遅れを考えるときに、単語や文章を正しく発音しているかどうかよりも、子どもが対象を指さして相手に伝えているかどうかを気にしてください。
 保護者から、「この子はスマホやタブレットの動画が好きなので、見せておけば勝手にことばを覚えてくれるのではないか」とよく言われますが、これは間違いです。動画を乳児に見せていても言葉はまったく育たないことが証明されています。人と人との相互作用だけがことばを育てます。遊びの中で、子どもが興味を持っているときや自発的に行動しているときは心が動いているので、記憶にも作用します。一緒に楽しみながら、体を動かしながら、ことばを聞かせる関わりがことばの発達には必要不可欠です。

福島県立医科大学小児科学講座
学内講師 鈴木 雄一 先生

運動音痴と発達性協調運動障害

2021/03

発達性協調運動障害とは何でしょうか?

 遅くしか走れない、ぎこちない、自転車になかなか乗れない、縄跳びが下手だったり、ボールを狙ったところに投げられない等、いわゆる「運動音痴」の子どもがいます。このような症状は、発達障害がある子どもによく認められる身体症状ですが、ときに運動面の問題だけが認められることもあります。運動面のみの場合は「発達性協調運動障害」といいます。
 協調運動とは、いくつかの動作を同時に行う運動をいいます。例えば、ボールを受け取るときには、ボールが飛んでくるのを見る(眼筋の運動)ことと同時に、両手をボールの運動に合わせてタイミング良く受け取るように動かさなければなりません。幼児がボールを受け取れないのは、この協調運動が育っていないからです。字を書くときには、何本かの指をうまく動かしたり、書く紙を他の手でおさえる必要があります。笛を吹くときも同様です。すなわち、協調運動の問題は、体育だけではなく、図工や音楽などにも悪い影響を与えることも考えられます。
 では、協調運動の問題を抱えているお子さんにはどうしてあげたらよいでしょうか。大切なのは、苦手意識を持たせずに楽しく身体を動かす習慣をつけることです。例えば、雑巾ふきや皿洗いをさせることは、協調運動の訓練としてはとても良いと思います。また、洗濯物を干したり、たたんだりといったことも協調運動の訓練になります。細く、長く、楽しく続けることで、少しずつ改善が認められます。転びやすい場合には、毎日一緒に15分程度の散歩をすることも良い訓練になります。できないことを無理に頑張らせるのは、あまりお薦めできません。誰でも嫌になってしまうことでしょう。
 昔に比べて、自動化が進んだ現在、運動面の能力を日常生活の中で鍛えることがむずかしくなっています。意識して、日常生活の中で楽しく身体を使うことをがんばらせてみましょう。このことは学力向上にも役立つことがわかっています。

福島県総合療育センター所長
森田浩之 先生

望ましいメディアとのつきあい方

2020/12

メディア(ゲーム、タブレット)が子どもの発達に悪影響を与えるのですか?

 福島県内では小中学生の不登校が急激に増加しています。一部地域では全国1位の都道府県より多い状況にあります。原因の筆頭はメディアの問題です。ゲームやYouTube、SNSなどを止められないために不登校になってしまうのです。メディアの問題があると言語能力に大きな影響を与えます。子どもの言語訓練を創始した中川信子先生は、ことばの発達には、身体とこころの育ちが必要だとおっしゃっています。身体が育って保護者と子どもで共通の体験が可能になって、こころのやり取りがあると、ことばが発達するということです。パソコンやタブレットでのひとり遊びでは、共通の体験もこころのやり取りもありませんから、言語能力や対人関係の発達に悪影響があるのは当然です。タブレット学習も要注意のようです。なぜなら、こころのやり取りがないからです。タブレット学習を止めて、保護者がいっしょに勉強したり、いっしょに家事をしたりすることで、行動異常が消えた患者さんをよく経験します。SNSやツイッターなどでのいじめの問題も根っこは同じことです。人とのやり取りの楽しさを十分に知らないからです。
 WHOは次の国際疾病分類に「ゲーム依存症」の病名を加えます。この診断基準からすると、保護者に言われてもメディア使用を止められないのは要注意です。
 対策は、人とやりとりの楽しさを経験させることです。おもちゃではなく、人と遊ぶことが大切です。また、早寝・早起き・朝ごはんを守ることも大切です。就眠時刻が遅くなるほど、メディア使用時間が延びることが知られています。
 3歳の孫は「おかあさんといっしょ」をみて、私に踊ってみせてくれます。私がTVから離れると、TVを見るのを止めてしまいます。TVを見るのが目的ではなく、私に踊りをみて欲しいのです。孫からメディアの正しい使い方を教えてもらったように思っています。

福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター
教授  横山 浩之 先生

不登校は蝶になる前の蛹(さなぎ)

2020/9

学校に行きたくないと言われたら、大切なことは?

 「今日は学校に行きたくない」と子どもから言われた場合、「ダメ、学校に行きなさい」と無理強いしたり、「どうして?どこか痛い所があるの?」と心配したり、「無理に行かなくてよいのでは」と理解を示したり、と家族の対応は様々です。
文部科学省が発表している都道府県別不登校児童生徒数によれば、令和元年度の福島県における不登校の状況は、小学生1,000人当たり4.6人(47都道府県中45位)、中学生1,000人当たり34.1人(同24位)です。全国的に平成25年以降は不登校児童生徒数が増加に転じています。不登校の対応に悩んでいる家族は少なくないと思います。
 不登校とはどのような状態なのでしょうか。文部科学省は「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。私見ですが、不登校は心の病気ではなく、発達の階段を登る途中で足をくじいた状態です。誤解のないように付け加えますが、不登校に至る背景には心理社会的問題やいじめなどが存在することがあるため放置せずに向き合うことが大切ですし、子ども側の背景に発達障害や学習不振、精神疾患が存在するのであれば専門家と相談しながら対応していくべきです。
 学校は社会の縮図で、子どもにとっては社会人になる前の練習の場です。また、子どもには家族が抱える問題や災害などの社会情勢も反映されます。不登校に至った場合は慌てて走らずに、くじいた足をいたわりながら再調整をするための機会と考えます。例えば蝶は大空に飛び立つ前に蛹(さなぎ)になり、その中で成熟します。早く蝶になってほしいからと外から叩いたり破いたりしてはいけません。不登校の対応では、家族一丸となって子どもが立ち止まった状況に理解を示し、専門家と相談しながら子どもの背中を押すタイミングを模索していくことが大切です。

福島県立医科大学 小児科学講座 学内講師
鈴木 雄一 先生

ひとりひとりの能力を伸ばす

2020/6

どうして発達障害の早期発見が大切なのですか。

 子どもの行動異常の原因は、大きく分けて、本人側要因と環境要因のふたつに分けられます。本人側要因として、頻度が高いのが発達障害です。文部科学省の調査によると、通常学級在籍の子どもで6.5%、特別支援学級・特別支援学校をあわせると、おおよそ1割弱が特別な支援を必要としています。「発達障害は生まれつきの問題なので修正困難で、環境要因による行動異常は環境を直せば良いので修正しやすい」というのは、良くある誤解です。発達障害はよく研究され、対処法も確立しつつありますが、環境要因による行動異常は原因を探るのも大変で、修正も容易ではありません。
 発達障害による行動異常を放置しておくと、思春期にはさまざまな問題があらわれます。学力不振、行動能力や生活能力の乏しさといった能力的な問題に加えて、二次的な併存障害が高頻度で起こります。併存障害には多大なストレスを外部にぶつける外在化障害と自分にぶつける内在化障害があります。外在化障害は、反抗や暴力、非行です。
内在化障害は、うつ状態、易刺激性(ちょっとしたことで興奮)、自傷行為があげられます。なお、併存障害は、発達障害がなくても起こりえます。
 誰が見ても問題が明らかになってからの対処は困難です。例えば、学習不振が明確になって学力を取り戻すのは大変です。なぜなら、低い能力で過去の復習をしつつ現在の勉強をしなければ追いつけないからです。知能検査結果(IQ)が正常範囲でもうまくいく保証にはなりません。なぜなら、知能検査でわかるのは潜在能力だからです。IQが正常でも、ゲームをしてさぼってばかりなら、学力や生活能力は身につきません。
 私自身の臨床経験でも、小学校低学年で来院したお子さんは、本人自身の潜在能力を存分に発揮した学力や行動能力を身につけさせてあげられます。何でも早期発見のほうが良い結果を生むことを知っておきましょう。

福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター
教授 横山 浩之 先生

アレルギーと腸内細菌

2020.3

アレルギーと腸内細菌叢について教えてください

 近年、非常に多種・多数存在する腸内細菌が免疫に影響を与えているのではないかと考えられる報告が多くなってきています。また、腸内細菌の割合の違いにより、アレルギー児が少なくなったり多くなったりする報告もあります。
 私たちの腸には、さまざまな腸内細菌の集まり、いわゆる「腸内細菌叢」(ちょうないさいきんそう)が存在し、私たちの健康に影響を与えていることが分かってきています。私たちの腸が初めて腸内細菌と出会うのは出産のときです。産道を通って赤ちゃんが産まれてくる際、お母さんの体に付着した菌が赤ちゃんの口や鼻から腸へと入り込みます。その後、一時的に病気の原因ともなる大腸菌などの「悪い細菌」が増えますが、生後4日を過ぎたあたりからビフィズス菌が急速に増え、悪い細菌を除去します。さらに、増えたビフィズス菌が「酢酸」という物質を産生し、これが赤ちゃんの腸の細胞を丈夫にする働きをします。このように適当な腸内細菌叢のバランスがさまざまなきっかけで崩れてしまうことが、小児アレルギーの発症と深く関わっていることが多くの研究からわかってきています。
 たとえば、帝王切開で生まれた新生児は産道での母親の細菌に触れる機会がなく、経腟分娩児と比べてアレルギー性疾患のリスクが高かったり、乳児期早期の抗生剤投与は腸内細菌叢の乱れやビフィズス菌の減少などをきたしたりして、アレルギー疾患発症のリスクを高めるのではないかと報告されています。
 治療面では、アレルギーリスク児に対するアトピー性皮膚炎発症予防における乳酸菌の予防効果が弱いなりに認めるものの、気管支喘息や食物アレルギーなどには効果がないといった報告があります。
現時点でアレルギーを心配したときに大切なことは、適切な生活リズム(良質な睡眠・運動・排便など)を心掛け、バランスのよい食事生活を続けたり、必要のない抗生剤の使用を控えたりすることだと考えます。

一般財団法人 太田総合病院附属太田西ノ内病院 小児科部長
生井 良幸 先生

小児のアトピー性皮膚炎

2019.12

風邪をひいてクリニックに行ったら、アトピー性皮膚炎と言われました。

 アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気のことで、アレルギー体質の子に多く見られます。この子たちによく見られる皮膚の乾燥、いわゆるドライスキンは皮膚のバリア機能が低下している状態です。刺激に敏感で、ダニや食物などの異物も体内に侵入しやすくなります。少しの刺激でかゆくなり、掻くと皮膚が剥がれて、さらにかゆくなる、という悪循環を繰り返します。皮膚が赤くなって皮がむけているのは、赤ちゃんだとホッペ、3~4才のお子さんだと肘や膝の裏などでしょうか。そこはアトピー性皮膚炎が特にひどくなりやすい場所です。
 肺炎は肺の炎症ですが、アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症です。まずこの炎症をなおすためにステロイド軟膏を使用します。肺炎の時は抗生物質ですが、皮膚炎ではステロイド軟膏が必要です。1日に2~3回、先生の指示通りに塗ります。その後は塗る回数を減らしますが、なおったように見えても皮膚の奥にはまだ炎症が残っていることもあります。油断は禁物、中途半端に治療をやめると、すぐに悪化するので、先生とよく相談して、治療を続けましょう。
 またアトピー性皮膚炎は全身に起こるので、健康そうな部位の管理も大切です。その基本がスキンケア、肌のお手入れです。肌を清潔に保つために、こまめに手洗いなどを。お風呂では、石鹸を泡立てて、その泡で体の表面を洗い流しましょう。ゴシゴシこすらないことが大切です。そして1日に2~3回、保湿剤を丁寧に塗ります。このスキンケアを赤ちゃんの頃から行うと、アトピー性皮膚炎になりにくい、という報告もあります。なお、アトピー性皮膚炎は乳児期には食物アレルギーとの関連がある子がいますが、年長になると食事の影響は少なくなるので、不必要な食事制限をしないようにしましょう。

一般財団法人 大原記念財団大原綜合病院 副院長小児科
鈴木 重 雄 先生

気管支喘息と呼吸器感染症

2019.9

うちの子は風邪をひくと咳がひどくなりやすいので、将来喘息になるのではないかと心配です。

 ぜん息(喘息)は、何かのきっかけで肺に向かう空気の通り道(気道)が狭くなり、咳やゼーゼー(喘鳴)、息が苦しくなる(呼吸困難)をくり返す病気です。喘息をもっている人が、咳がひどくなったり、ゼーゼーして息が苦しくなることを、喘息発作といいます。
どうして喘息になるのかについては、今も研究が進められています。両親から受け継いだもともと喘息になりやすい体質(遺伝素因)に、産まれてから接してきた環境(アレルゲン、感染、受動喫煙、大気汚染など)が作用すると発症するといわれています。
 肺や、肺に向かう空気の通り道である気管でおこる感染症を呼吸器感染症と呼びます。呼吸器感染症の原因として、RSウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスや、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌などの細菌が知られています。このうちウイルス感染は喘息の発症と増悪(発作をおこすこと)のどちらにも関連していることがわかってきました。
 アトピー素因を持つお子さん、つまりご家族にアトピーや喘息、花粉症などの疾患があり、その体質を受け継ぎアレルギーを起こしやすい体質のお子さんでは、RSウイルスやライノウイルスなどのウイルス感染症にかかった時に重症化することがあり、感染症を治そうとする力が強くはたらくことにより気道の炎症がおこり、喘息の発症や重症化がもたらさされるのではないかと考えられています。ウイルス以外にも、ダニ、カビ、たばこの煙などが直接気道を刺激し、強い炎症が気道に起こることが報告されています。
 このように、もともと喘息になりやすい素因があるお子さんが、ウイルス感染などの呼吸器感染症にくり返しかかると、喘息を発症したり喘息発作が起きたりすると言えます。残念ながらどんなに注意しても風邪をひかないようにすることは難しいですね。赤ちゃんのうちからスキンケアをして肌をきれいに保ち、さまざまな環境の刺激に対する皮ふのバリア機能を保つことは大切といわれています。また、こまめな掃除によるダニ・カビ対策や、お子さんに関わるすべての人が禁煙するなど、保護者の方ができることはたくさんあります。できることからお子さんを取り巻く環境を整えるようにしてみましょう。

公立相馬総合病院 小児科長
武山 彩 先生

小児のスギ花粉症について

2019..6

 4歳になる子どもの鼻水 鼻づまりが長引いています。私と同じくスギ花粉症でしょうか?

スギ花粉症の症状である「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」は、花粉の体への侵入を防ぐ反応ですが、症状が強いと困リますね。スギ花粉の飛ぶ時期に「<しゃみ・鼻水・鼻づまり」を繰り返す場合、顕微鏡で鼻水の好酸球(白血球)を探し、血液検査や皮膚テストでスギヘの免疫(スギlgE抗体)を確認します。通常、スギlgE抗体が作られてから(感作)、スギ花粉症の発症まで数年~数十年か かり、幼児発症はまれでしたが、2008年調査の有病率は、 0~4歳1.1% 、5~9歳13.7% 、10~19歳31.1%でした。
 幼児に増えている要因は、飛散するスギ花粉数の増加、食生活や腸内細菌の変化、感染症の減少、大気汚染や喫煙と言われていますが、お子さんはまだ4歳なので、スギ花粉飛散時期と症状が一致する かどうかを、もう少し確 認しましょう。幼児期は免疫が未熟なため、発症しても軽い症状で済みそうです。診断を急がずに、症状に合わせて飲み薬を続けてください 。
 今後、スギ花粉症と診断された場合は、できるだけスギ 花粉を避けましょう。マスクなどで予防し、室内に花粉を持ち込まないようにします。またアレルギー薬を飛散開始予想の1~2週間前から飲み始めると、症状が軽くなります。
 スギ花粉症が自然に治る可能性は数%と低く、学童では集中力の低下や睡眠不足による受験への影響が危惧されます。そこでスギの舌下免疫療法が注目されています。3~5年間、毎朝錠剤を舌の裏に置いて1分間待ち、溶けたくすリを飲み込みます。幼児は1分間待つことがむずかしいので、小学生になってから開始するのがよいでしょう。
 有効率は70%で、飛散開始の3 か月前(10月頃)までに開始すると、お母さまがスギ花粉症なら、お子さんといっしょに免疫療法を開始すると、楽しく続けることができます。

公益財団法人星総合病院 診療部長兼小児科部長
佐久間 弘子 先生

花粉食物アレルギー症候群について

2019.3

以前は食べられていたのに最近モモを食べると口の中がかゆいと言うようになりました。モモのアレルギーになってしまったのでしょうか?

 ある特定の果物や野菜などを食べることによって、口の中や喉にかゆみや違和感が生ずるタイプのアレルギーを、口腔アレルギー症候群(OAS)といいます。花粉症に合併することが多く、花粉ー食物アレルギー症候群(PFAS)とも呼ばれます。食べた直後から起こり、ほとんどの場合は口や喉のあたりまでの症状に留まります。
 アレルギーでは、原因となる物質をアレルゲンと呼びますが、花粉症のひとのからだの中には、アレルゲンとなる花粉に対しての「抗体」というものが作られています。花粉が入ってくると、その「抗体」と結びつき、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こします。
 一方で、果物や野菜の中には、花粉のアレルゲンと非常によく似たつくりを持っているものがあります。口腔アレルギー症候群では、それらを食べたときにからだが花粉のアレルゲンが入ってきたと勘違いし、果物や野菜のアレルゲンに対して花粉の「抗体」が反応してしまい症状が起こります。花粉症の発症が低年齢化してきているのに伴い、口腔アレルギー症候群の発症も幼稚園ぐらいからみられるようになっています。
 また花粉症には、スギやブタクサ、北海道に多いシラカバなどありますが、その種類によって反応しやすい果物や野菜が異なります。生の果物や野菜で起こることが特徴で、加熱加工されたものは食べられることが多いとされています。
診断は、その食品を食べて口の中や喉に症状があることの確認に加え、血液検査や新鮮な食物そのものを用いる皮膚プリックテストが行われます。  
 治療は、症状のある食物の除去が基本となります。食品の多くは加熱などの加工により食べることができるので、生はダメでも缶詰やジャム、ジュースなどは問題なく摂取できます。ただし、店頭販売などで直前に果物を絞ったジュースでは症状が誘発されることもあり注意が必要です。

一般財団法人 竹田健康財団竹田綜合病院 小児科
澁川 靖子 先生

食物経口負荷試験について

2018.12

食物アレルギーでかかりつけの先生から食物経口負荷試験をすすめられました。食物負荷試験のことを教えてください。

 食物経口負荷試験とは、アレルギーが疑われる食品を、少量ずつ時間をあけて食べてみて、症状がでるか観察する検査のことです。血液検査や皮膚テストだけでは、本当に食べて症状がでるかどうかまではわかりませんので、実際に食べて症状をみることで、確実な診断をすることができます。この食物負荷試験を行う目的は、大きく分けて3つあります。
 1つめは食物アレルギーであることを診断するためです。以前に血液検査や皮膚テストを受けて、検査結果が陽性であったため、その食品を除去しており、一度も食べたことがない場合です。あるいは、乳児期よりアトピー性皮膚炎があり、原因と考えられる食品を除去している場合です。
 2つめはアレルギー症状がよくなったかをみるためです。卵・牛乳・小麦・大豆などの食品では、小さい頃はアレルギー症状がでていても、成長に伴いアレルギー症状が出ずに食べられるようになることがあります。以前は症状がでて除去していた食品が食べられるようになっているかを確認します。
 3つめはどこまでの量を食べると症状がでるのか、どんな症状がでるのかを確かめる目的です。症状が出る量や実際に出る症状を知っておくことで、まちがって食べてしまったときにどのように対応をしたらよいのか、考えることができます。
 このように、食物負荷試験はとても有用な検査ですが、実際に症状が起きてしまうかもしれないという危険性もあります。食物負荷試験を行っている病院では、今までの経過や症状をよくお聞きした上で、患者さんに食べてもらう量を決定します。そして実際に症状がでたときにも十分に対応できる準備を整えたうえで、負荷試験を行います。
 まずはかかりつけの先生に相談してみて、食物負荷試験を行っている病院を紹介してもらい、よく説明を聞いた上で、検査を受けるか決めるのが良いと思います。

公立相馬総合病院小児科長
武山 彩 先生

食物アレルギーの診断について

2018.9

子どもはアトピー性皮膚炎でクリニックに時々通っていますが、食物アレルギーが心配です。その診断方法について教えて下さい。

 食物性アレルギーとはある食物を食べた後にその中の成分、多くはタンパク質に体が過敏に反応して、じんましんや皮膚炎の悪化、咳やゼイゼイするなどのぜん息発作、下痢や吐くなどの症状(アレルギー症状)が誘発される病気のことです。ある食品を食べたらアレルギー症状が出る、これが一番重要な点です。
 食物アレルギーを疑って病院/医院で検査をするのは、大きく分けて2つの場合があると思います。1つめは、ある食品を食べた後すぐにアレルギー症状が出た場合、2つめは、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎が良くならない場合に食事の影響がないかを調べる時です。多くの施設で特異的IgE抗体検査という血液検査を行います。
 例えば、牛乳を飲んだ後にアレルギー症状が出現、血液検査をしたら牛乳に対する特異的IgE抗体が陽性だった場合は、牛乳アレルギーと診断して乳製品を一定期間、食べないよう指導されると思います。ところが、この時にタマゴ(鶏卵)も一緒に検査したところ、陽性だったとします。タマゴを毎日食べていて全く症状が出なくても、です。この場合は食べても症状が出ないので、タマゴアレルギーとは言いません。当然、タマゴは今まで通りに食べていて大丈夫です、除去する必要はありません。すなわち、血液検査だけでは食物アレルギーとは診断できないのです。(医学的にはタマゴに「感作」されていると言います)
 ちなみに2つめの、アトピー性皮膚炎で検査して陽性の食品があった場合も食事制限は慎重に行う必要があります。その食品を一定期間除去して、実際に皮膚炎が良くなるかを見ることもあります。自己判断による食事制限で栄養不足になってしまっては元も子もありません。美味しい食事を家族みんなで楽しみたいですしね。
 その他、経口負荷試験と言って、その食品を実際に食べてみて症状が出るかを見る方法があります。食物アレルギーの診断(とその対策も)は、主治医の先生とよく相談することがとても大切です。

一般財団法人 大原記念財団大原綜合病院 小児科主任部長
鈴木 重雄 先生

小児の食物アレルギー

2018.6

子どもが卵アレルギーです。小学校の給食が心配です。

 小学校の給食時間には、食物アレルギーでお弁当を持参したり、みんなと離れて食べるお子さんがいます。どうか「食べられなくてかわいそう」と思わないでください。そのお子さんは大切に守られています。給食を作る栄養士さんはメーカーに問い合わせしながら成分を確認し、メニュー表を作ってくれます。仕入れが変わると成分が変わり、大変なご苦労で毎日頑張っています。調理員さんからお子さんたちに届くまで、たくさんの方がチェックしてくれています。
 小学校入学前に栄養教諭が面談し、学校管理指導表を提出します。文部科学省は「給食の安全」を最優先に、「完全解除(通常給食)あるいは完全除去」対応を原則としました。「通常給食」対応とは、例えば生卵は食べられない卵アレルギーのお子さんが、加熱卵と卵白入りマヨネーズが食べられるなら、「給食で生卵は出ないので」通常給食でOKという意味です。あくまで学校給食のメニュー範囲内で食べられることが必要です。
 症状に差はありますが、食物アレルギーは乳児10人に1人、 3歳でその半分位、小学生で100人に2人程度に減っていきます。つまり治っていきます。守る免疫力と消化吸収力が5-6歳で大人と同じレベルに育つからです。お子さんみんなが、卵白入りマヨネーズまで食べられるようになるといいですね。しかし残念ながら、小学生になっても治らないお子さんたちの治療法はまだ見つかっていません。研究対象として「経口免疫療法」に進むか、「一生?除去」するしかありません。
 お子さんのアレルギー症状が出たのはどのくらい前ですか。何年か前なら、すでに治っているかもしれません。もし症状が出るとしても、重症でなければ、卵の摂取を「ゼロにしない」「安全な量(微量)を見つけて食べる」ことをお勧めします。食物経口負荷試験をして、正確な診断とリスク評価をしましょう。それにより「早く治る、あるいはアレルギー症状が軽くなる」ことが明らかになっています。安全に食べられる量を見つけて、少しずつ食べられる量を増やして、お友達と同じ給食が食べられるようになるといいですね。

公益財団法人星総合病院診療部長兼小児科長
佐久間 弘子 先生

こどものけいれんについて

2018.3

子どもがひきつけを起こした時、どうすればよいでしょうか?

 お子さんがひきつけ(けいれん)を起こした時には、まず安静にさせて、押さえつけたり、強く揺らしたり余計な刺激は与えず、落ち着いて様子を見ましょう。舌をかまないようにと口の中に物を入れたりすることは、窒息や誤嚥の原因となるので絶対にしないで下さい。
 子どもがひきつけを起こす原因は様々です。頭を強く打ったり、発熱や、胃腸炎が誘因となることもありますが、てんかんや脳炎脳症、髄膜炎等が原因の可能性もあるため、基本的には医療機関を受診することが大切です。

福島県総合療育センター副所長
森田 浩之 先生

急性白血病について

2018.3

検査で白血球が多いといわれました。急性白血病かどうか心配です。

 急性白血病では骨の中(骨髄)でがん化した未熟な血液細胞が血液中に出てくるため、白血球が増えます。同時に、白血病細胞は血液が作られる場所(骨髄)で増えるため、正常の血球は逆に減少します。そのため、貧血(顔色が悪い、だるい)、血小板減少(血が止まりにくい)、免疫能低下(発熱)などがみられます。白血球は感染症やストレスなどでも増加しますので、形態異常のない正常な白血球が増えただけで他の所見がない場合に急性白血病を疑うことは通常ありません。

福島県立医科大学附属病院 小児腫瘍内科
准教授 佐野 秀樹 先生

インフルエンザの予防について

2017.12

インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?

 インフルエンザはウイルスの病気です。ワクチンにはある程度の予防効果は認められていますが、ウイルスを体の中に侵入させないことが一番大切です。インフルエンザウイルスは鼻から侵入し体内で増えますので、外出する際には口だけでなく鼻までしっかりと覆うようにマスクを着用しましょう。
 さらに、ウイルスは手指に付着します。ウイルスで汚染された手指で鼻を触ったりすることでもウイルスは侵入しますので、外出先から帰宅した際にはしっかりと手洗いをしましょう。

福島県立医科大学 小児科学講座 講師
佐藤 晶論 先生

おたふくかぜについて

2017.12

おたふくかぜワクチンはやった方がよいのですか?

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はムンプスウイルスの飛沫感染で起こります。感染から2~3週間の潜伏期を経て、両側の耳下腺や顎下腺が腫れ、痛みや発熱を伴います。ウイルスに対しての治療はなく、対症療法のみとなります。主な合併症としては無菌性髄膜炎や脳炎、膵炎、精巣炎などがあります。また、片側性の難聴を合併することもあり、これは高度難聴が多く難治性です。これらの事を考慮すると、やはり予防接種をする事が望ましいと考えられます。現在はまだ任意接種であるため、早期の定期接種化が期待されます。

相馬市立総合病院 小児科
萩原 典之 先生

離乳食と食物アレルギーについて

2017.9

離乳食を遅らせた方が食物アレルギーを減らせるのですか?

 最近は食物アレルギーの研究が進んで、離乳食を遅らせると、逆に食物アレルギーが多くなりやすと言う事が分かってきました。生後5か月になったら早目に、粒の無いトロトロ状の離乳食を開始しましょう。1さじずつでもいいから、たくさんの食品に早目に広げていくことが大事です。
 また、顔や体の湿疹をそのままにしておくと、食物アレルギーが多くなる事も分かってきました。乾燥肌には保湿剤を使いましょう。赤い湿疹ならば小児科や皮膚科で治療し、皮膚をきれいにすることで食物アレルギーを予防しましょう。

わたり病院 副院長小児科部長
北條 徹 先生

心臓検診について

2017.9

心臓検診とは、何でしょうか?

 小学校に入学すると心臓検診が行われます。検診の目的は心臓疾患を早期に診断し、適切な日常生活を行えるようにすることです。学校医による診察、調査票による問診、心電図検診が1次検診として行われます。先天性心臓病の多くは乳児期に診断されますが、一部は心臓検診で発見されます。
 また、脈に乱れを生じる不整脈の多くは心臓検診で発見されます。心臓疾患のほとんどは治療や適切な指導で安全な学校生活を過ごせます。精密検査が必要と判断された場合は、早めに医療機関を受診して下さい。

福島県立医科大学 周産期小児地域医療支援講座
医科大学教授 桃井 伸緒 先生

母乳『育児』のすすめ

2017.6

最近母乳の出が良くなく悩んでいます。母乳栄養が大事だと思えば思うほど気持ちが落ち込んでしまいます。

 母乳育児と母乳栄養の違いをご存知ですか? 母乳栄養は栄養としてのみ母乳を用いること、母乳育児は授乳というお互いのやりとりの中で赤ちゃんのみならずお母さんの心と体が育まれること。母乳がたくさん出ても、テレビやスマホをみながらの授乳は母乳育児とは言いません。赤ちゃんを愛おしく抱いて、目線を合わせて優しく話しかけながら授乳する・・この瞬間に生まれる相互愛が母乳育児の本質です。なので、母乳の分泌が多い少ないにかかわりなく、すべてのお母さんが母乳育児をすることができるのです。母乳育児を存分に楽しみながら赤ちゃんの成長を見守っていきたいですね。

国立病院機構福島病院 統括診療部長
石井 勉 先生

検尿について

2017.6

どうして、尿検査をするのですか?

 早期発見・治療を行うことで腎不全への移行を減少させることができると考えられています。
 現在では就学前から、3歳時や5歳時に保育園や幼稚園で検尿が行われています。
 おむつが外れていないお子様の採尿は難しいこともありますが、その場合は保育園の先生等に相談すると採尿の仕方を教えてくれます。
 また、もし要精密検査の判定になった場合は、必ず専門の医療機関を受診するようにしてください。

福島県立医科大学 小児科学講座 講師
陶山 和秀 先生

乳児湿疹(にゅうじしっしん)について

2017.3

赤ちゃんの顔に湿疹ができてしまいます。どうしたらよいでしょうか?

 生後2-3か月までの間にできる赤ちゃんの湿疹には新生児ニキビや脂漏性湿疹など原因は様々で、まとめて「乳児湿疹」と呼ばれます。基本的な対処法としてマッサージオイルやベビーローションで保湿する、よく泡立てたベビー石鹸で洗ってあげる、寝具や肌着をこまめに取り換えるなどの対処がよいとされています。軟膏などをむやみに塗ると悪化することがありますので、ひどく膿んだ状態や乾燥した状態が続く場合は医師の診察を受けることをおすすめします。

泉堂綜合病院 小児科 部長
金子 真利 先生

腸重積(ちょうじゅうせき)について

2017.3

腸重積ってなぁに?

 腸重積は4か月から1歳半に多くみられ、腸が腸に入りこんでしまう病気です。原因が不明であることも多いですが、アデノウイルスなどの腸管感染症に伴うものがみられます。急に火がついたように泣いたり、泣き止んだりを繰り返します。その後、嘔吐・血便がみられ、顔色も悪くなり、ぐったりしてきます。治療は、造影剤の入った液や空気を肛門から入れて、入り込んだ腸を押し出して整復します。12時間以内なら70~80%成功します。可能であれば、血便が出たときのおむつを持参し小児科を受診して下さい。

公立岩瀬病院 小児科 部長
小田 慎一 先生

子どもの頭痛について

2016.12

小さい子どもにも頭痛ってあるんですか?

 子どもが「痛い」と言ったら、どこか本当に痛いのだと思ってあげて下さい。子どもの場合、ほとんどは脳に異常はないものです。体に異常がないからといって、心配ないというわけではありません。頭痛の誘因は、感染症以外では、不適切な生活習慣・集団行動のストレス・低血圧等、色々ありますが、鎮痛剤を飲めばある程度改善します。ところが、不登校児のカルテを見ると、低学年の頃から、風邪でもないのに頭痛その他の身体症状を訴えていたことが少なくありません。些細な症状でも、しっかり向き合いたいものです。

坂下厚生総合病院 小児科 部長
青木 英子 先生

卵アレルギーと予防接種について

2016.12

卵アレルギーと診断されました。予防接種は受けられますか?

 ワクチン製造過程で、鶏卵由来成分が含まれてしまうのはインフルエンザワクチンです。麻疹風疹混合、おたふくかぜワクチンは卵白と反応する成分がごく微量含まれていますが、卵アレルギーのお子さんでも接種可能です。インフルエンザワクチンに含まれる鶏卵由来物質はごく微量であり、アレルギー症状が軽微な場合は接種可能です。また、希釈液による皮内テストなどを行ってから接種の可否を判断する場合もあります。主治医の先生とよく相談のうえ、時期を逃さずに接種するようにしましょう。

福島赤十字病院 小児科 部長
三友 正紀 先生

気管支喘息について

2016.9

喘息では、なぜ「ゼーゼー、ヒューヒュー」するのですか?

 喘息は、気道に慢性的な炎症が起こっている病気です。ハウスダストやダニなどのアレルゲンを吸い込むことで気管に炎症が起こり、気道の内腔が腫れ分泌物が多くなり気道が狭くなります。さらにホコリ、冷気やストレスなどの刺激が強く作用すると気道が一層狭くなり、そこを空気が通るため「ゼーゼー」「ヒューヒュー」するような発作が起こります。アレルゲンを避けて、気道炎症を改善させる薬を使用すれば、喘息でない人と同じように運動や生活ができますので安心してください。

福島県立医科大学 小児科 副部長
川崎 幸彦 先生

臍ヘルニアについて

2016.9

へそが出ているのですが…

 臍ヘルニア(でべそ)ですね。生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそがとびだしてくる状態です。触れると柔らかく、圧迫するとグジュグジュとした感触で簡単にお腹に戻りますが、あかちゃんが泣いておなかに力が加わるとすぐに元に戻ってしまいます。
 このヘルニアは、5~10人に一人の割合でみられ、生後3ヶ月ころまで大きくなり、ひどくなる場合は直径が3cm以上にもなることがあります。有効な治療がありますので、小児科までご相談ください。

太田西ノ内病院 小児科 部長
生井 良幸 先生

熱中症について

2016.6

炎天下で遊んでいたら気分が悪くなり、頭が痛いと言っています。大丈夫ですか?

 熱中症かもしれません。熱中症になるとめまいや頭痛、吐き気、こむら返りなどの症状が現れます。このような時には涼しい場所に移動し、衣服を脱がせ、水分と塩分(イオン飲料水など)を補給しましょう。水分が取れない時や反応が鈍い時にはすぐに医療機関を受診しましょう。熱中症は予防が大切です。帽子をかぶり、熱がこもりにくい薄手の服装にし、こまめに水分と塩分を補給しましょう。また炎天下では長時間の運動を控え、お子さんを車内に置き去りにしないなどの注意も必要です。

福島県立南会津病院小児科 科長
渡部 真裕 先生

異物飲み込みについて

2016.6

異物を飲み込んでしまったのですが、どうしたらよいでしょうか。

 子供は、はいはいを始めると、いろいろなところに移動し、目にするものは口に入れてその性質を知ろうとします。意外と大きなものも飲み込んでしまい、トイレットペーパーの芯に入るものであれば、飲み込む可能性があるといわれています。飲み込んだもの、飲み込んだものが入った場所(食道、胃、気管など)によって、すぐに取り出すかどうかの判断が必要です。できれば、飲み込んだものと同じものを持参して、病院を受診してください。また、子供がはいはいを始めたら、飲み込みそうなものは高いところに片付けるようにすることも大事です。

白河厚生総合病院小児科 副部長
村井 弘通 先生

胃腸炎について

2015.12

子どもが急に吐いて、下痢をしました。どうすれば良いですか?

 胃腸炎が考えられます。胃腸炎はウイルスまたは細菌に感染して発症します。子どもの場合、ほとんどがウイルス性です。ノロウイルスやロタウイルス以外にも数種類あります。早期に診断して 早期に特異的な薬を開始するインフルエンザウイルスと異なり、胃腸炎のウイルスに特異的な薬はないので 緊急で受診する必要はありません。脱水にならないことが最も重要になり、経口補水液などを少璽ずつ飲ませゆっくり増量します(経口補液といいます)。黄色いものを吐き続ける痛みを強く訴える 便に血が混じるなどの時は早めに医療機関の受診が必要になります。

一般財団法人竹田健康財団竹田綜合病院小児科科長
長澤 克俊先生

経口補液について

2015.12

経口補液って何ですか?

 熱や嘔吐や下痢で脱水症になっても、症状が軽いときには点滴ではなく口から必要な水分と電解質をとることがむしろ生理的で痛みも伴いません。その安全性と有効性は実証されています。通常のスポーツドリンクとは異なる組成で市販品があリますので、嘔吐や下痢の時にはそうした飲み物を症状にあわせて極少量から与えてだんだん増やしていき自分の力で体調が回復するのを助けるのが経口補液という方法です。赤ちゃんがまだぐったりする前には試してみてはいかがでしょう。
 もちろん嘔吐や下痢の症状が強いときには 早めにかかリつけ医を受診してください。

いわき市立総合磐城共立病院 小児内科主任部長
鈴木 潤 先生

食物アレルギーについて

2015.9

子どもが牛乳アレルギーと診断されました。これから気を付けることは何ですか?

 日々の生活でアレルゲン(原因食物)を食べないことが基本です。しかし、除去の程度や期間は人によって異なります。乳幼児期は成長に必要なカロリーや栄養が不足しないよう「必要最小限の除去」にします。牛乳がダメなら豆腐や小魚、海藻、アレルギー用ミルクなどでカルシウムを補いましょう。「こわいから」と、あれもこれも食べないのではなく、医師と相談して食べられるものを増やしましょう。またアトピー性皮膚炎を合併している場合はスキンケアで皮膚をコントロールすることが大切です。

星総合病院 診療部長兼小児科部長
福島県立医科大学小児科 臨床教授
佐久間 弘子 先生

低身長について

2015.9

保育園に行き始めましたが、まわりの子どもたちと比べると、ずいぶん背が小さいのですが?

 今、身長は何cm、体重は何kgですか?そして、何才何ヵ月でしょうか?このデータを母子手帳の乳児(幼児)身体発育曲線に記入してみて下さい。男の子だと黄緑、女の子だとピンクの範囲に入っていれば大丈夫。3オでも、3オ0ヵ月児と3オ11 ヵ月児では、およそ1年の差があリます。お子さんの身長は月齢単位でみましょう。過去の身長、体重もグラフに記入を。右肩上がりの曲線ならば大丈夫ですが、曲線が平行もしくは右下がリの場合は小児科を受診してください。

大原綜合病院 小児科主任部長
福島県立医科大学小児科 臨床教授
鈴木 重雄 先生

子どもの風邪について

2015.6

保育園に通い始めました。風邪がなかなか治りません。

 一年間に、1歳未満で平均6~7回、1歳から4歳で平均4~5回、風邪をひきます。 保育園など集団生活に入った最初の1年間は、風邪の原因になるウイルスや細菌をお友達からもらう機会が増えますので、よく風邪をひき治りきらないこともしばしばです。保育園症候群という言葉もあります。さまざまな 種類の風邪にかかることで抵抗力がつき、 丈夫になり、小学校入学の頃には風邪をひく回数が減ります。治りきらない風邪は中耳炎の 原因になるのでご注意ください。

福島県立医科大学 小児科 准教授
エコチル調査福島ユニットセンター センター長
橋本 浩一 先生

夏に流行する風邪の種類と症状を教えてください。

 手足口病、ヘルパンギーナ、 そしてプール熱です。聞いたことがありますか?どれも高い熱の出るのど風邪です。手足口病、ヘルバ ンギーナは口の中に水疱ができ、痛みのため に食欲が落ちてしまいますので、その時はプリンやゼリーなどの柔らかい食事を摂りましょう。手足口病は文字通り手、足、口に発疹ができるのが特徴です。プール熱は結膜炎を伴います。3つとも特効薬はありませんが数日で治ります。熱は発汗とともに下がりますので、熱がある時は水分を十分にとリ、冷やすことが大切です。

福島県立医科大学 小児科 准教授
エコチル調査福島ユニットセンター センター長
橋本 浩一